Q. 税込み賃料に対して、仲介手数料請求時に消費税が課税されるのは消費税の二重課税ではないの?

税込み賃料55万円(税抜き50万円・消費税5万円 消費税率10%)の物件を仲介してもらいました。 その際に、仲介手数料として、605,000円請求されました。 これは、消費税の二重課税ではないでしょうか?

 

A. 二重課税ではございません。

・税抜き50万の貸室料に対しての消費税が5万円

これは、不動産オーナー(所有者・貸主)様が納税義務がございます。

・税込み55万円の物件の仲介役務の提供に対する仲介料は、55万円 +消費税5万5千円

納税義務は、仲介会社となります。

  一般的に、商品・役務が違えば課税されます。飲食店さんの例で言えば、飲食店さんが食材を仕入れるときに、材料に消費税が課税されています。そして、お客様に提供するときに、商品の対価に消費税を課税しています。というように飲食店の場合も、仕入れのときと、商品提供時に消費税が課税されています。

食材購入時:食材の販売者が納税義務者(対価の支払いは飲食店)

商品提供時:飲食店さんが納税義務者(対価の支払いは、消費者)

 

不動産の取引時に、賃借人や購入者が、「消費税の二重課税じゃないの?」と思うには、支払い者が同じだから、二重課税に感じてしまうんですね。でも実際には、上記の例でいうと、物件の税込み賃料や、税込みの売買価格というのは、仲介業者の仕入れにあたり、飲食店の例でいうと、食材購入にあたります。課税された商品(不動産取引)を、滞りなく両者の間を取り持つという仲介するという役務の提供が、飲食店の場合の、商品提供と言えます。

テナントの賃料、あるいは売買価格に対しての消費税:貸主または売り主が納税義務者(対価の支払いは借主・買主)

仲介手数料に対しての消費税:仲介業者が納税義務者(対価の支払いは借主・買主)

というように、飲食店の場合と違い、負担者が借主・買主と同じになってしまうんですね。だから「消費税の二重課税」と感じてしまうんですね。しかし商品・役務と納税義務者が違うので、消費税の二重課税には該当しないのです。だから、二重課税ではなくて、ただ違う商品を買えば、それぞれに対して消費税が課税されるだけのはなし。不動産取引としては1回ですけど、1回の取引で、2つの商品(サービス)を購入しているから、2つ分それぞれの消費税負担があるだけなのです。

 

※消費税は 10% で計算。2024-03-09現在の法律において。かならず最新の法令等をご確認ください。